マザーボードの内部・外部コネクターをスマートに選択,現場の需要に応じた産業用コンピューターを
前の記事では、産業用コンピューターの演算、メモリー、各種インターフェースについてお話しましたが、今回はマザーボードの内部・外部コネクターについて話したいと思います。産業用コンピューターは、アプリケーション分野に応じてデザインが異なり、一部の部品も安定度を強化するために特殊な材料または機構形状を採用したりしますが、マザーボードを構成する各コンポーネントのピン、スロット用のコネクターは、今のところ標準規格が主流です。
マザーボードの上にある各部コンポーネントに電力を供給するには、まず電源装置とケースのケーブルをマザーボードのコネクターとヘッダー(露出ピン)に差し込む必要があります。ケーブルとコネクターの正確な接続を確保するために、この手順を実行する前に、マニュアルの図示とマザーボードにシルクスクリーン印刷でプリントされた文字を参照する必要があります。昨今の産業用コンピューター向けマザーボードによく見かけるコネクタータイプには、24ピンの電源装置のほか、CPU、PCIe、SATA Express/SATA 3、M.2などの電源コネクターがあります。CPUのピン数はワット数によって異なり、4ピンから8ピンまで選択することができます。なお、デジタルサイネージといった映像の解像度が高く求められる産業用コンピューターの場合、グラフィックカードが要する大きい消費電力を満たすために、マザーボードにグラフィックカード用の独立電力供給コネクターを設置しなければなりません。
上記のコネクター以外にも、産業用コンピューター向けマザーボードにはさまざまなヘッダーが存在しています。フロントパネルの電源ヘッダーは個別のピンを1組にして、電源ボタン、リセットボタン、ハードドライブLED、電源LED、内蔵スピーカー、ケースに電力を供給できます。同じくフロントパネルにあるオーディオヘッダーは、主にヘッドフォンとスピーカーの端子に電力を供給します。ファンとポンプのヘッダーは、CPUの水冷クーラーシステムに電力を供給します。そのほか、USB 2.0、3.0、3.1やS/PDIF(デジタルオーディオ)のヘッダーもあります。
外部端子は、マザーボードをデバイス接続のハブとして利用し、I/Oコントローラーでさまざまなデバイスを管理します。マザーボード端子は、CPUの統合グラフィックスチップをモニターに接続することができ、ディスクリート・グラフィック・カードが内部に配置されていないシステムに特に適しています。このデザインは画像処理専用のものではなく、キーボードやマウスなどの周辺機器、オーディオデバイス、イーサネットケーブルにも適用します。さらに、マザーボード上のバージョンが違う端子(USB 3.1 Gen 2など)のスピードを引き上げます。
マザーボードは一般的に、外部端子を背面パネル側に集積化し、取り外し可能または統合型の「I/Oシールド」で覆われます。このシールドは、通常金属製のケースと接触するため、接地されています。背面パネルをマザーボードに直接接続するか、それとも単独で取り付けるかは現場の需要と機構設計によります。単独で取り付ける場合、システムを組み立てるときに個別に取り付けます。
よく見かける産業用コンピューターの外部端子は下記の通りです。
USB端子:
マウス、キーボード、ヘッドフォン、スマートフォン、カメラとその他の周辺機器に接続するために使用する普通の端子です。USBポートは、電力とデータ(USB 3.2の最大転送速度は20 GBit/s)の両方を同時に供給することができます。現在のマザーボードには、従来のUSB Type-Aコネクターと、よりスリムでリバーシブルなType-Cコネクターが搭載されることがあります。
Thunderbolt™3端子:
USB-Cコネクターを使用した高速端子です。Thunderbolt™ 3テクノロジーは、最大40 GB/sの速度でデータを転送し、DisplayPort 1.2とUSB 3.1規格にも対応します。DisplayPortへの対応により、「デイジーチェーン式接続」で互換性のあるモニターを複数連結して、同じコンピューターから駆動させることができます。
PS/2端子:
従来型の端子で、キーボードやマウスに接続用の色分けされた6ピンのコネクターです。
HDMI(高精細度マルチ・メディア・インターフェース):
随所で見かけるこのデジタル接続は、HDMI 2.1バージョンの時点で最大8K、30Hzの解像度に対応しています。
DisplayPort:
この映像規格は、DisplayPort 1.4の時点で最大8K、60Hzの解像度に対応しています。DisplayPort対応は、マザーボードよりもグラフィックスカードの方が多いですが、Thunderbolt™ 3端子を介してDisplayPort対応するマザーボードも少なくありません。
DVI(デジタル・ビジュアル・インターフェース):
この1999年に出現した29ピンのデジタル接続は、シングルリンクDVIまたは帯域幅がより広いデュアルリンクDVIであることが可能な従来型の端子です。デュアルリンクは2560 × 1600までの解像度(60Hz)に対応します。アダプターを使えば簡単にVGAに接続できます。
VGA(ビデオ・グラフィックス・アレイ):
アナログ式の15ピン接続で、85Hzのリフレッシュレートで2048 × 1536までの解像度に対応します。
この従来型の端子は、現在でもマザーボードで見かけることがあります。解像度が高い場合やケーブルが短い場合、信号の品質が悪くなりがちです。
HDMI、DisplayPort、DVI、VGAなどの映像端子は、マザーボード内蔵のグラフィックデバイスに接続した時、いずれかの拡張スロットに装着したグラフィックカードは、ユーザーが選択した対応する映像端子のオプションを提供します。
オーディオ/ビデオ外部コネクターにおけるもう1つ注目されるポイントは音声ですが、多くのコンピューターケースの正面にはヘッドホン(ヘッドホン出力)とマイク(マイク入力)用のアナログ式3.5mm音声端子が2つ配置されます。マザーボードの背面パネルには通常、マルチchスピーカーシステムに接続用と表示される、色分けされた3.5mm音声端子が6つあります。
まとめてみますと、産業用コンピューターと民生用または商用コンピューターとの最大の違いはマザーボードの内部・外部コネクターにあります。民生用または商用コンピューターは固定的な用途で使われるため、機能に求められる変化が少ないのに対し、産業用コンピューターは業務内容に応じた特殊のニーズに応える必要があります。例えば、小売業のPOSシステムにはマルチスクリーン設計およびバーコードスキャナーとの併用が求められます。工場ラインにおける機能要件は比較的にシンプルですが、堅牢性と信頼性への追求は高く、端子が抜けにくいよう固定性を強化しなければなりません。特定の現場に適したコネクターの選択法については、DFIまでお問い合わせください。当社のチームは、性能と規格が適合した産業用システムの構築についてお客様のお手伝いをします。