難しい課題となり得るRF設計

筐体の外側にアンテナを取り付けると、搭載部品によるWifi/5Gの干渉を効果的に防ぐことができますが、内部に入れるというニーズに対しては、基板上のアンテナ配置と回路設計が重要になります

設計上の問題点には、簡単に発見できるものもあれば、ずっと困難なものもあります。消費電力が高すぎる場合、適切な場所にプローブを刺すことで、通常は問題の箇所を見つけることができます。メモリの種類が正しくないか、メモリが不足しているためにCPUがアイドル状態になっているとき、熟練した技術者であれば問題を簡単に発見し、修正することができます。

 

しかしRFの世界は、ほとんどの技術者にとって未知の世界です。通常、システムメーカーは、RFベンダーからブラックボックス化した部品の供給を受けます。つまり、そのブラックボックスに、RFサブシステムを適切に動作させるために必要なすべての部品が含まれています。微調整の必要はなく、必要となるであろうものはいくつかの受動部品くらいでしょう。この場合、アンテナは通常、信号が良好な筐体外側に取り付けられます。 

 

RFI design on the motherboardマザーボード横のアンテナ配置は精密技術であり、無作為に行うものではありません。アンテナを間違った角度や場所に設置すると、解決が難しいRFIの問題が発生する可能性があります。 

 

技術者は、アンテナを含むRFサブシステムを筐体内に設計するという選択肢もあります。しかし、そのRFサブシステムが基板上の他の部品から干渉を受ける場合、どうすればよいのでしょうか?まず第一に、それが起こっていることをどのように知ることができるでしょうか?このような問題は、思った以上によくあることなのです。

 

DFIの研究開発チームは、無線周波数干渉(RFI)や電磁波干渉(EMI)の分野に関して十分な教育を受けており、サポートを提供することができます。問題は非常に複雑で、ある部品が他の部品とうまく機能しないこともあり得ますし、あるいは比較的単純で、アンテナを別の角度に移動したり、システムの別の場所に配置したりすることで問題が解決することもあります。

 

RFIの影響

アプリケーションの中には、シンプルなIoTデバイスなど、ほぼ無害なものもあります。そして、ボーイング737のケースのように、人命にかかわるようなものもあります。最近、FAAはボーイング社に対し、同社のレーダー高度計が5Gインターネットサービスの影響を受ける可能性があると警告しました。これは、レーダー高度計の作動周波数帯が、3.7~3.98 GHzの周波数帯において5G無線帯域から干渉を受け、レーダー高度計の信頼性が低下する原因となることを意味しています。

 

どんな環境でも同じですが、RFIは「静か」であることが必要です。ノイズがほとんど存在しないことで、アンテナの受信性能が向上します。電子機器が意図せずに放射されるEMIのエネルギー値を制御し、また宇宙空間での不要な電磁波放射エネルギーが無線通信機能を阻害しないように、さまざまな規制が設けられています。しかし、一般的なマザーボード設計者は、こういった規制を知らない、あるいは単にこの「シンプルな」マザーボードには適用されないと考えるかもしれません。

 

複数の電力面と接地面、そして全周波数帯域で動作するデバイスがあるため、EMIとRFIがかなり発生しやすくなります。信号経路の適切な計画は、高周波信号のシミュレーションと分析、インピーダンスマッチングの制御と連続性、信号経路の不連続性の回避と同様に重要です。そして、各部品のインピーダンス特性は高周波で調整する必要があります。

 

このように、電子部品の複雑さと密度の高さが組み合わさることで、あらゆる信号が意図しない放射源となる可能性があるのです。マザーボード周辺の空間には、基本周波数と高調波周波数の電磁波があふれており、無線通信が使用する周波数帯域に干渉します。

 

アンテナの適切な配置

開発者にとって基本的な問題は、アンテナをどこに配置するかということです。アンテナが無駄な干渉ではなく、有用な信号を受信できるように、アンテナの角度と位置を調整することが重要となります。

 

一般にIPCや組み込みボックスPCの場合、アンテナはケース外側に取り付けられています。これは設計を簡素化する一方で、マザーボードから発生するRFIに対するシールドとして金属のケーシングを使用し、干渉問題の多くを回避します。外部アンテナを扱えないアプリケーション向けに、DFIのエキスパートは、アンテナを筐体内部に設置しながら、干渉を引き起こさない実行可能なソリューションを考え出しました。

 

干渉を避けるために、DDRモジュール、クロックチップ、PWM ICなどシステム内の他の部品もRFIから保護する必要があります。これらを金属缶の中に入れるなどして遮蔽することが有効な場合もありますが、高価であったり、効果が薄かったりすることがあります。DFIの経験によると、RFIエネルギーの放射を減らす最も効果的な方法は、PCB上の信号経路を計画すると同時に、マザーボード上でシールドを設計することです。

 

ハードウェア設計に加えて、ソフトウェア設計も調整し、RFスペクトルで動作するシステム向けにRFIを低減する必要があります。これもまた、DFIのエキスパートが支援できる領域です。良くも悪くも、5Gやその他関連するRF関連技術は、まだ到来していないとしても、これから必ずやって来ます。そして、より多くの無線機器が加わるため、アンテナの数は倍増していきます。このため、開発者はきちんと適応する必要があります。DFIのエキスパートは、サポートする準備ができています。 

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